読書記録:限界のタワーマンション(榊淳司 著)

現代社会

本書の内容

タワーマンションに関するいろいろな欠点を記述した本。

本書の内容を見ていくと次のようになる。

「迷惑施設化するタワーマンション」

タワーマンションの人口が多すぎて、近隣が混雑してしまう等の「迷惑施設」としてのタワマン像を提示。

タワマン建設反対派の周辺住民の意見等を紹介。

「タワーマンション大規模修繕時代」

修繕費用が高くつくという問題を指摘。

「災害に弱いタワーマンション」

台風や水害、地震などに弱いというリスクの観点からタワマンの弱点を解説。

「タワーマンションで子育てをするリスク」

自然と離れたところで子育てをすると、子育てに悪影響があるのではないか?という説を提示。

著者とタワーマンション。

著者は不動産広告をつくる仕事をした関連でタワーマンションについて意見を書くようになった。

タワーマンションに対する感じ方は、著者の出身も関係するという。

私は京都市の左京区、吉田山の麓に生まれ育った。・・・(京都)市内の中心部で高層建築の話が持ち上がると、必ず反対の声が上がる。京都市民は、高層建築にアレルギー反応を示すのだ。私は、そういう京都に生まれ、育った。

「おわりに」

タワーマンションの高層階に住む住人から見える「虚栄心」「優越感」というものに対する嫌悪感。それが著者のタワーマンション批判につながっている。

タワマン住人からの批判。

タワマン好きからは批判もある。

タワーマンション現役住民が反タワマン本:【限界のタワーマンション】を読んでみた | スムログ
人にはそれぞれ好き嫌いがあります。 ピーマンが嫌いな人がいます セロリが嫌いな人がいます 安倍政権が嫌いな人がいます 原発が嫌いな人がいます 肉食が嫌いな人がいます 米軍基地が嫌いな人がいます 共産...

マンションブロガー「のらえもん」氏による、本書への批判的なレビューがある。

しっかりとした批判なので、読み応えあり。

解決策

本書で指摘されてるタワーマンションの問題は、修理(大規模修繕工事)や維持をやっていくことに「お金がかかる」というのが最大のポイントである。

技術的に解体できない・修理できない という問題ではない。

逆に言えば、所有者が維持・修繕のお金を出すことができれば、問題にならないと言える。

上の「のらえもん」氏の批判にあるように

修繕積立金も管理費もタワーマンションだと高いじゃないか!という議論は意味がありません。それを支払えるだけの人がそのマンションを買っているのです。

ということだろう。

また法律が変わって修繕・解体を促すようになれば、その決まりの中で物事が動いていく。

著者はマンションの区分所有に関する法律を変えようという提案もしているので、将来、法律が変化することによって問題の一部は解決するのではないか。

タワマンの好き嫌い。

著者はタワーマンションを見て醜い建物だなあ。と思ったという。

この点は個人の性格によると思う。

眺望が良いので自分は高層階を訪れるのは好きである。

ただし自分が住むことは考えていない。

感想

タワーマンションは「お金持ち」の象徴であるとともに、自然のあり方から離れているとしてよく思わない人も多い。

また、「高収入」等のマウントを取ってくる成金的なタワマン住人に対して、本書のような内容を読んで心の中で「逆マウントを取りたい」という読者もいることであろう。

タワマンの未来について。

最先端の技術もいずれは時代遅れになっていく。現代最先端の技術で作られたタワマンも、そのうち古臭いと思われる時代が来るであろう。

文化的価値の高いごく一部の建造物は、いくら古いものでも残されて丁寧にメンテナンスされている。(歴史的建物)一部のタワーマンションは丁寧に手入れされて「採算度外視」で残っていくのではないだろうか。そう感じた。


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