Apple Vision Pro 使用感(2025年夏のレビュー)

以下は、Vision Pro を買ってからの使用体験談です。

2025年初頭に購入したのでレビューを書いていこうと思う。

コンテンツ鑑賞

仕事で使うために買ったのだが、やはり用途が「コンテンツ鑑賞」に寄っていくことがわかった。

自分は、映画やドラマは Amazon Prime Video を中心にして他のサービスを契約したり・解約したりを繰り返している。U-NEXT、Disney+、Apple TV など。

Vision Pro の観点で言うと、Prime Video は公式に Vision Pro 対応している。また、U-NEXT も Vision Proのアプリストアにアプリがあって、公式版で使える。Disney+ と Apple TV は、Vision Pro のウリでもある 3D/立体版のラインアップを持っていて、こちらも公式アプリがある。3D映画で有名なものは、「アバター」や、「スパイダーマン」などがあって、これらの作品は Vision Pro ではデフォルトで3Dで見られる。

とはいえ、個人的には、映画やドラマは 2D が完成品だと思ってたりする。映画は、昔に作られたカラーですらないような白黒トーンの作品でも物によっては十分面白い。下手に3D 化すると“安っぽさ”が出ることもある。

画質は片目4Kディスプレイと言って、要するにとても精細な画像が見える。Apple の音質は空間オーディオと言われる技術が使われていて、Vision Pro と Airpods を組み合わせて個人シアターを作れる設計になっている。

視聴スタイルは、暗い部屋で横になるのが自分には最適解だとわかった。バッテリーの持ち時間についてだが、Vision Pro は充電しながら利用可能。バッテリーの持続時間は「一般的な使用で最大約2時間」とされているので、映画のときは給電しながら使うのが安心だと思われる。しばらく使ったあと、バッテリーがほのかに温かくなっているのがちょっと好きである。

配信アプリでいえば、現時点で Netflix と YouTube の“公式”visionOS アプリは提供されてない。Netflix は公式ページでは、「Safari経由で使う」という視聴形式を案内している。画質とかには問題なく使えるので、その方法で視聴している人も多いと思う。

また、Youtubeなどを見るためのサードパーティ製クライアントは存在していて、Vision Pro 内のアプリストアから検索してインストールすることは可能である。とはいえ、ログインやプライバシーの扱いがアプリごとに異なるので、自分はいまのところ使っていない。

スポーツ観戦

コンテンツの種類で言うと、スポーツは空間的な情報量との相性が良さそうで期待している。DAZN は Vision Pro でそのまま動くので、サッカーや F1 を大画面で眺めるだけでも十分に楽しい。F1 のマルチビュー形式の配信(Zone)でも、視界が狭くならないのはヘッドセットの利点だと思う。夜遅い時間帯の試合でも、部屋の電気をつけずに見えるのは家族がいる人にとっては便利な点だろうと思う。(真っ暗な部屋でも、ハンドトラッキングやアイトラッキングには問題を感じたことはない。)

Zoomミーティング

オンライン会議は、自分は Zoom を使用している。Vision Pro 版 Zoom が、公式に提供されていてアプリストアからダウンロードすることができる(Vision Pro 版のアプリストア・アプリは元から Vision Proに入っている。)Vision Pro の特徴とも言える“Persona”(自分の顔をスキャンしたデジタル・アバター)が統合され、首振りや手の動きがそこそこ伝わるのは便利である。(ペルソナ設定をするためには、最初に自分の顔を読み込む設定が一度だけ必要。Vision Proを外し、自分の顔に向けて顔をスキャンする体験は近未来感がある。)

Zoomミーティングは課題がないわけではなくて、今後改善される点も含めて「わざわざ Vision Proを使う利点」はそれほど感じられないことが多いのだが、そんな中でもメリットしては「顔を洗ってなくても髪の毛がボサボサの状態でも、きちんとした顔の自分のペルソナを代わりに参加させることができる」というのは有る。ノートパソコンからミーティングに参加していると、角度の関係で自分の顔が画面の下の半分に寄ったりしてしまったりするのが、改善できる。

ミーティング時の難点としてはいろいろあって、

・ヘッドセットを外すとミーティングから離脱扱いになる

・ヘッドセットが低照度を検知した時点で、ミーティングから離脱扱いになる

・AirPods の接続が切れて、音声が途切れる

というような“道具としてのクセ”はあるので、重要会議は Mac でバックアップ接続(同じミーティングに Vision Proと Mac で二重参加して、Mac のほうをミュートしておく)という、ちょっとややこしい運用に落ち着いた。ミーティング参加中は、Mac の画面を仮想デスクトップ機能で Vision Pro内に投影。Vision Pro のアプリはそれとは別に同時並行で見える。というような形で動くので、画面の文字が読みづらかったりということはない。

入力キーボード

入力・作業面では、Vision Pro の“仮想キーボード”で指入力ができる。視線をあわせて指をつまむ動作をすると入力できる、ほかに、指を空中に浮かぶキーボードに突っ込むような動作で入力する。しかし、これだと入力速度面では落ちるので、自分は Mac を「Mac仮想ディスプレイ」でつないで作業することが多い。視線をMac の画面に向けると接続ボタンが現れ、ワンクリックで Vision Pro 内に巨大な Mac 画面が出現する。要件として、Wi-Fi と Bluetooth をオンにし、同じ Apple ID でサインインしておく、といった条件がある。また、最新のOSバージョンがインストールされている条件があると思うので、OSアップデートをチェックするようになった。テキスト入力は手元のMac の物理キーボードがやはり速い。

オーディオ

オーディオは内蔵スピーカーでもそこそこ良いと思うが、外からの音が漏れ聞こえてしまうので、集中したいときは AirPods Pro(第2世代/USB-C)と組み合わせている。Vision Pro との組み合わせでは“低遅延ロスレス”により映像とのズレが少ないとされている。とはいえ遅延に関しては、自分はよく違いがわからない。

3D写真

写真アプリも面白くて、いわゆる“空間写真・空間ビデオ”を観ると、被写体と自分との距離感が体感できる。空間写真とは、いわゆる3D写真・3D動画のようなもので、iPhone 16 で撮影できたりする。また Vision Pro 自体にもカメラ機能がついていて空間写真・空間ビデオを撮影できる。

Apple の公式アプリで、世界の各地で撮影した空間写真がランダムで流れてくる(数日に一回?更新)のようなアプリがあるのだが、世界の暮らしや動物・植物の接写が流れてきて、お気に入りのアプリだ。

visionOS 2 からは、2D 写真をデバイス側の機械学習で空間写真化する機能が追加された。というわけで、空間写真として元が撮影されていなくても、それを後付で空間写真にすることができる。うまくハマると“そこに在る”感じが出て楽しい。

その他ハード面

ハード面で言うと、Vision Pro は、「LiDAR」と呼ばれるセンサーとカメラ群で周囲・手・目線を認識する。これのおかげか、暗いの環境でも手のジェスチャーは比較的安定している印象がある。

バッテリーと配線は、運用のコツがいくつかある。外付けバッテリー単体で映画をフルに観るとバッテリーの持ちが不安なので、鑑賞中はバッテリーに給電しながら使う運用に落ち着いた。イヤホンは無線前提なので、ケーブルは「電源→バッテリー→Vision Pro」となる。

また音声について。Airpods の Bluetooth がたまに切れて映像が一時停止することがあり、ミーティング中や映画中に起きると体験が悪化する。Airpods はiPhone や Mac では切断が起きることはないので多分 Vision Pro 側の問題だと思ってはいるのだが、OSやファームウェアのアップデート等で、早期の改善を望みたいところだ。

考えてみたら、うちはインターネット共有やテザリングなどをしていることがあった。電波が飛びすぎていて混乱しているのかもしれない。テザリングを切ったらどうなるか、など、試してみたいと思う。

アカウント

アカウント運用は悩ましいところ。最初は仕事用 Apple ID と分けようと思ったのだが、Mac仮想ディスプレイの連携や写真周りを考えて、結局は個人 ID に統一した。写真やメッセージの“見せたくなさ”は生じる。各自の運用哲学が出る部分だと思う。

保証

保証は AppleCare+ を付けておくと安心ではある。Vision Pro の目につける周りの部分(表現が難しい)が、磁力でくっついているだけであり、ここの部分を持った結果、突然外れてVision Proを落としそうになる現象がある。これは周りの誰に触らせてもここの部分で一度は落としそうになっていた。実際に床へ落としたことはないが、注意が必要な点だろう。

その他

開発者目線の豆知識で言うと、通常の iPhone/iPad アプリは、開発元が App Store Connect で“Vision Pro で提供しない”と明示的にオプトアウトしない限り、既存バイナリのまま Vision Pro の App Store でも配信できる。(もちろん最適化や専用版に作り替える道もあります)。「あのアプリがない」の背景に、こうした提供可否の選択がある・・・

ストレージサイズ

ストレージは何種類かから選べたため、最大の 1TB を購入したが、現時点で 30GB ぐらいしか使っていない。ストリーミング映像を視聴するために家で使うだけだったら、写真アプリでどのぐらい使っているかにもよるが、それほどの記憶容量は要らないのではないかと思う。飛行機や船での移動とかで一杯映画をダウンロードしたい人は、また別だが。ちなみに移動中で見るための「トラベルモード」というのも、Vision Pro には用意されている。

まとめ

いろいろ思いついたままに書いたが、買って良かったデバイスだと思う。値段が高価だというのはあるが、狭い部屋で電気をつけずに超大画面の映画を鑑賞できるというのは秘密基地でリラックスするような楽しみがある。映画をよく見る人だけど大画面は置きたくない人。iPhone ユーザーで AirPods を使っているような人には特にすすめられると思った。

コメント